回復期に感じるモチベーションの波 自分に合った付き合い方を見つけるヒント
燃え尽きを経験された後、回復の道を歩まれている皆様へ。
以前のように仕事や活動への意欲が湧かなかったり、日によってやる気が全く起きなかったり、かと思えば急に何かをしようと思い立ったり。回復期には、モチベーションが一定せず、波があるように感じることがあるかもしれません。
このモチベーションの波に戸惑い、「以前の自分はもっと違ったのに」と不安を感じたり、自分を責めてしまったりすることもあるのではないでしょうか。
しかし、安心してください。回復期にモチベーションに波があるのは、ごく自然なことなのです。これは、心と体が懸命に回復しようとしているサインでもあります。大切なのは、この波を「悪いもの」として排除しようとするのではなく、ありのままに受け入れ、自分に合った付き合い方を見つけることです。
この記事では、回復期に感じるモチベーションの波にどのように向き合い、自分らしいペースで回復を進めていくかについて、いくつかのヒントをお伝えします。
回復期にモチベーションの波が起こる理由
なぜ、回復期にはモチベーションに波ができやすいのでしょうか。いくつか考えられる理由があります。
まず、燃え尽きは心身に大きな負担をかけます。脳の機能も一時的に低下していることがあり、エネルギーレベルが安定しないため、意欲や集中力も変動しやすくなります。
また、回復のプロセス自体が一進一退であることが多いためです。良い日もあれば、そうでない日もある。心身の状態に合わせて、活動レベルも自然と変化するため、それがモチベーションの波として現れるのです。
さらに、燃え尽きを経験したことで、以前の「頑張りすぎる」パターンや価値観が揺らぎ、次にどう進むべきか模索している段階であることも、モチベーションの不安定さにつながることがあります。
この波は、決してあなたが怠けているサインではありません。むしろ、心と体が「今はこれくらいが良い」「もう少し休みたい」と正直に伝えてくれている声として受け止めてみましょう。
モチベーションの波との上手な付き合い方
モチベーションの波をなくすことは難しいかもしれませんが、その波に翻弄されず、穏やかに回復を進めるための付き合い方は見つけることができます。
1. 波を観察し、自分を知ることから始める
まず、自分のモチベーションがどのように変動するかを観察してみましょう。毎日決まった時間に、今の気分や意欲のレベルを簡単に記録してみるのも良い方法です。
- 今日はなんだかやる気があるな
- 今日は何もする気が起きないな
- 特定のことを考えると少し前向きになれるな
このように、波のパターンや、どのような時にモチベーションが上がりやすく、どのような時に下がりやすいかを知ることで、「これはいつもの波だな」と客観的に捉えられるようになり、不安が和らぎます。
2. 「高い波」の時こそ無理をしない
モチベーションが高い日があると、「この波に乗って一気に進めなければ」と感じるかもしれません。特に、過去に燃え尽きた経験があると、焦りから再び頑張りすぎてしまうことがあります。
しかし、回復期における高い波は、心身が一時的に上向いているサインであると同時に、エネルギーを使い果たしやすい時でもあります。高い波を感じた時こそ、「無理なくできる範囲はどこまでか」を冷静に見極め、セーブすることを意識しましょう。ここで無理をすると、その反動で次の「低い波」がより強くやってくる可能性があります。
3. 「低い波」の時に自分を責めない
モチベーションが低い日は、罪悪感や焦りを感じやすいものです。「何もできていない」「自分はダメだ」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
しかし、低い波は心身が休息を求めているサインです。無理に頑張ろうとするのではなく、「今は休息が必要な時間なのだな」と受け入れ、自分に休息を許可してあげましょう。何もせずゆっくり過ごすこと、好きなことだけをして過ごすこと、眠ること。これら全てが大切な回復のプロセスです。低い波を受け入れることは、長期的な回復のためには欠かせないステップです。
4. 小さな「できること」に焦点を当てる
モチベーションが低い時でも、「これならできそう」と思える小さなタスクを見つけて取り組んでみるのも有効です。例えば、
- 5分だけ部屋の片付けをする
- 近所を少し散歩する
- メールの返信を1件だけ書く
- 好きな音楽を1曲だけ聴く
など。小さな達成感は、少しずつ自己肯定感を育み、次の行動へのエネルギーにつながることがあります。大切なのは、ハードルを極限まで下げ、「できたらラッキー」くらいの気持ちで取り組むことです。
5. 休息と活動のバランスを意図的に取る
回復期には、活動している時間と同じくらい、あるいはそれ以上に休息の時間を大切にする必要があります。モチベーションの波に関わらず、意識的に休息やリラックスする時間をスケジュールに組み込みましょう。
例えば、午前中に少し活動したら、午後はしっかり休む時間にする。あるいは、1日の終わりに何も考えずにリラックスできる時間を設ける。このように、活動と休息のバランスを意図的に取ることで、心身のエネルギーを安定させ、モチベーションの急な落ち込みを防ぐことにつながります。
6. 完璧を目指さず「ほどほど」を受け入れる
燃え尽きを経験された方の中には、完璧主義な傾向をお持ちだった方もいらっしゃるかもしれません。回復期には、以前のような完璧な状態を目指すのではなく、「これくらいで十分」「今日はこれだけできた」と「ほどほど」を受け入れる勇気が大切です。
モチベーションが高い時でも、低い時でも、今の自分にできる「ほどほど」の範囲で活動することで、無理なく継続することが可能になります。
回復期の「成果」の見方を変える
回復期においては、以前のような「仕事の成果」や「生産性」だけが価値ではありません。心身が回復に向かっていること、穏やかな時間を過ごせていること、休息を自分に許せていること。これら全てが、回復期ならではの尊い「成果」です。
モチベーションの波に一喜一憂するのではなく、この波があること自体を「回復の途中にあるサイン」として肯定的に捉え、今の自分にできること、そして必要な休息を大切にしてください。
まとめ
回復期にモチベーションに波があるのは、心と体が回復しようとしている自然なプロセスです。この波を否定せず、ありのままに受け入れ、観察し、自分に合った付き合い方を見つけていくことが、穏やかで確実な回復への鍵となります。
高い波の時に無理をせず、低い波の時に自分を責めない。小さな「できること」に焦点を当て、休息を大切にする。そして、完璧を目指さず「ほどほど」を受け入れる。
回復の道のりは、平坦ではないかもしれません。しかし、波があることを知り、その波との上手な乗り方を学ぶことで、少しずつ、しかし着実に、自分らしいペースを取り戻していくことができるはずです。
この経験を通して、自分自身の心身のリズムを理解し、より健康的な働き方、生き方を見つけていくための一歩としてください。あなたは一人ではありません。この場所が、皆様にとって少しでも安心できる場所であれば幸いです。