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復職後に集中力が続かないと感じたら 心身に優しい仕事の進め方ヒント

Tags: 復職, 仕事術, 集中力, 燃え尽き, ワークライフバランス

燃え尽きを経験され、回復を経て復職された皆さま。新しい環境、あるいは慣れた職場に戻り、心身ともに新たなスタートを切られたことと思います。

しかし、復職後に「以前のように集中力が続かない」「どうも仕事に身が入らない」「前に比べて効率が悪くなった気がする」と感じることはありませんでしょうか。

これは決してあなたが「劣化した」わけでも、「努力が足りない」わけでもありません。燃え尽きからの回復は段階的なプロセスであり、脳や心身はまだ完全に元の状態に戻っていない場合が多くあります。特に、高度な情報処理や長時間の集中を必要とする仕事では、回復途上であることを実感しやすいかもしれません。

以前のようなペースで働けない自分に焦りや不安を感じることもあるかもしれません。しかし、この時期に無理をして再び心身のバランスを崩してしまうことは避けたいものです。

ここでは、復職後に集中力が続かないと感じた時に、心身に負担をかけずに仕事を進めるための具体的なヒントをいくつかご紹介します。ご自身の状態に合わせて、試せそうなものから取り入れていただけたら幸いです。

なぜ集中力が続かないと感じるのか

集中力が続かない背景には、いくつかの要因が考えられます。

これらの要因を踏まえ、心身に優しい仕事の進め方を考えてみましょう。

心身に優しい仕事の進め方ヒント

集中力が続かない、以前のようにできないと感じても、工夫次第で仕事を進めることは可能です。無理なく、自分のペースで取り組むためのヒントです。

1. タスクを「超」細分化する

大きなタスクを前にすると、「大変そうだな」「集中力が持つかな」と気後れしてしまうことがあります。そんな時は、タスクをこれ以上分解できないくらい小さなステップに分けましょう。

例えば、「〇〇の資料作成」であれば、「資料の構成案を考える」「必要なデータを集める」「集めたデータの中から使うものを選ぶ」「構成案に従って見出しを作成する」「見出しごとに簡単なメモを書く」...といったように、1つあたり5分〜15分程度で完了できるレベルまで分解します。

小さなタスクなら取り組みやすく、一つ完了するたびに達成感も得られます。

2. 短時間集中とこまめな休憩を取り入れる

長時間集中を維持するのが難しい場合は、短い時間だけ集中し、短い休憩を頻繁に挟む方法が効果的です。

例えば、25分間集中して作業し、5分休憩するというサイクルを繰り返す「ポモドーロテクニック」のような方法があります。タイマーを使うと時間の管理がしやすくなります。

「よし、次の25分はこれだけに集中しよう」と意識を切り替え、休憩時間は席を立つ、ストレッチをする、温かい飲み物を飲むなど、リフレッシュに充てましょう。

3. 完璧を目指さず「完了」を定義する

すべてのタスクを以前のように完璧にこなそうとすると、膨大なエネルギーを消費します。まずは「どこまでできれば完了とするか」の基準を少し下げてみましょう。

「今回は8割の完成度でOKとする」「最低限必要な情報だけを盛り込む」など、あらかじめ「完了」のラインを決めておくと、必要以上に頑張りすぎたり、終わらないことに焦ったりすることを避けられます。

重要なタスクであれば精度が必要ですが、すべてのタスクに同じ完璧さを求めない柔軟さも大切です。

4. 脳に優しい環境を整える

集中を妨げる外部からの刺激を減らしましょう。

また、静かな環境でも集中できない時は、波の音や環境音などの心地よい音を聞きながら作業するのも一つの方法です。

5. 体調や気分に合わせた柔軟な働き方をする

日によって体調や気分の波があるのは自然なことです。特に回復期は、その波が大きいこともあります。

「今日はどうしても集中できないな」と感じる日は、無理に難しいタスクに取り組まず、簡単な作業やルーティンワークに充てるなど、柔軟に仕事内容を調整してみましょう。または、短時間で切り上げて休息することを検討することも大切です。

「調子の良い時にまとめて進める」「休憩を多めにとる日を作る」など、日々の自分の状態に正直に向き合い、無理のない働き方を見つけることが長期的に続ける上で重要です。

実践例:小さな成功体験を積み重ねるAさんの話(フィクション)

復職したばかりのAさんは、以前は長時間集中して仕事を進めるのが得意でしたが、復職後はすぐに気が散ってしまい、タスクが滞りがちでした。「どうして前みたいにできないんだろう」と落ち込むこともありました。

ある時、同僚に相談したところ、「タスクを小さく分けて、一つできたら休憩してみたら」とアドバイスされました。Aさんは早速、抱えている仕事を付箋に書き出し、一つあたり10〜15分で終わる小さなタスクに分解してみました。

「〇〇のメール返信(簡単なのだけ)」「△△のデータ入力(5件だけ)」「今日のTodoリストを書き出す」など、本当に簡単なものから始めました。そして、一つ終わるたびに付箋を剥がし、短い休憩を挟みました。

最初は慣れませんでしたが、小さなタスクを完了させていくうちに、少しずつ「できた」という感覚が得られるようになりました。完全に集中できる時間は短くても、「この小さなタスクだけなら頑張れる」と思えるようになり、以前のような完璧さを求めず、「今日はここまでできればOK」と自分に許可することも学びました。

この方法を取り入れてから、Aさんは以前ほど自分を責めなくなり、仕事に対する前向きな気持ちを少しずつ取り戻しています。

まとめ:焦らず、自分に優しいペースで

復職後に集中力が続かないと感じることは、回復の途中であるサインかもしれません。それは決して後退ではなく、あなたの心身が「無理しないでね」と教えてくれているのです。

以前の自分や他の人と比較せず、今の自分の状態を受け入れ、心身に優しい仕事の進め方を模索してみてください。タスクを小さく分ける、短い時間で集中する、休憩をこまめにとる、完璧を目指しすぎないといった小さな工夫が、無理なく仕事を続けるための大きな助けになります。

回復には時間が必要です。焦らず、一歩ずつ、ご自身のペースで進んでいくことが大切です。この時期に身につけた「自分に優しい働き方」は、きっとこの先のキャリアにおいても、あなたを支える力となるはずです。

もし一人で抱え込まずに、職場の信頼できる同僚や上司、あるいは専門機関に相談することも考えてみてください。あなたは一人ではありません。